【FP3級】「相続財産の評価(不動産)」のポイントと練習問題

FP3級試験で出題される「相続財産の評価(不動産)」の重要ポイントと例題についてまとめました。

相続財産の評価(不動産)の概要

相続財産の評価において、不動産の評価は非常に重要です。
特に、土地や建物の評価方法は、相続税の計算に直接影響を与えます。

評価方法 対象 計算方法
路線価方式 市街地の宅地 路線価 × 土地の面積
倍率方式 市街地以外の宅地 固定資産税評価額 × 倍率
自用地 自己所有の宅地 路線価 × 奥行価格補正率 × 地積
借地権 借地権が設定されている宅地 自用地評価額 × 借地権割合
貸宅地 他人に貸している宅地 自用地評価額 × (1 – 借地権割合)
貸家建付地 貸家が建っている宅地 自用地評価額 × (1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
小規模宅地等の特例 特定の条件を満たす宅地 評価額の減額

1. 土地の評価方法

路線価方式

  • 概要: 市街地にある宅地の評価方法です。
  • 計算方法: 路線価 × 土地の面積
  • 路線価: 国税庁が毎年1月1日を基準日として7月1日に公表します。

倍率方式

  • 概要: 市街地以外の郊外地や農村部にある宅地の評価方法です。
  • 計算方法: 固定資産税評価額 × 倍率
  • 倍率: 国税庁が定めた倍率を使用します。

自用地の評価

  • 概要: 自己所有の宅地の評価方法です。
  • 計算方法: 路線価 × 奥行価格補正率 × 地積

借地権の評価

  • 概要: 借地権が設定されている宅地の評価方法です。
  • 計算方法: 自用地評価額 × 借地権割合

貸宅地の評価

  • 概要: 他人に貸している宅地の評価方法です。
  • 計算方法: 自用地評価額 × (1 – 借地権割合)

貸家建付地の評価

  • 概要: 貸家が建っている宅地の評価方法です。
  • 計算方法: 自用地評価額 × (1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

2. 小規模宅地等の特例

概要

被相続人の住居用や事業用、または貸付用だった宅地を相続などで取得した場合、一定の要件を満たすと評価額が減額される特例です。

減額割合と限度面積

利用形態 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

適用条件

  • 申告期限までに遺産分割を確定: 未分割の場合、申告期限までに申告書を提出し、申告期限から3年以内に分割が完了すれば遡って適用可能です。
  • 相続税の申告が必要: 相続税額が0円になる場合でも申告書の提出が必要です。

この特例は相続税にのみ適用され、贈与税には適用されません。
また、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用する場合、合計730㎡まで適用可能です。

3. 建物の評価方法

自用建物の評価

  • 概要: 自己所有の建物の評価方法です。
  • 計算方法: 固定資産税評価額 × 1.0

貸付用建物の評価

  • 概要: 他人に貸している建物の評価方法です。
  • 計算方法: 固定資産税評価額 × (1 – 借地権割合 × 賃貸割合)

練習問題と解説

問題1

市街地にある宅地の相続税評価額を計算する際に用いられる方法はどれですか?

  1. 倍率方式
  2. 路線価方式
  3. 固定資産税評価額方式
  4. 賃貸割合方式

【解説】
正解: 2. 路線価方式
市街地にある宅地の相続税評価額は、路線価方式を用いて計算されます。路線価方式では、国税庁が定めた路線価に土地の面積を掛け合わせて評価額を算出します。

問題2

借地権が設定されている宅地の相続税評価額を計算する際に用いられる算式はどれですか?

  1. 自用地評価額 × 借地権割合
  2. 自用地評価額 × (1 – 借地権割合)
  3. 固定資産税評価額 × 倍率
  4. 路線価 × 土地の面積

【解説】
正解: 1. 自用地評価額 × 借地権割合
借地権が設定されている宅地の相続税評価額は、自用地評価額に借地権割合を掛け合わせて算出します。

問題3

小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等の評価額が減額される割合はどれですか?

  1. 50%
  2. 60%
  3. 70%
  4. 80%

【解説】
正解: 4. 80%
小規模宅地等の特例では、特定居住用宅地等の評価額が330㎡までの部分について80%減額されます。

問題4

貸家建付地の相続税評価額を計算する際に用いられる算式はどれですか?

  1. 自用地評価額 × (1 – 借地権割合)
  2. 自用地評価額 × (1 – 借地権割合 × 借家権割合)
  3. 自用地評価額 × (1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
  4. 固定資産税評価額 × 賃貸割合

【解説】
正解: 3. 自用地評価額 × (1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
貸家建付地の相続税評価額は、自用地評価額に(1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)を掛け合わせて算出します。

問題5

倍率方式が適用されるのはどのような土地ですか?

  1. 市街地にある宅地
  2. 市街地以外の宅地
  3. 商業地にある宅地
  4. 工業地にある宅地

【解説】
正解: 2. 市街地以外の宅地
倍率方式は、市街地以外の郊外地や農村部にある宅地の相続税評価額を計算する際に用いられます。固定資産税評価額に国税庁が定めた倍率を掛け合わせて評価額を算出します。

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