FP3級試験で出題される「相続と法律」の重要ポイントと例題についてまとめました。
相続と法律の概要
相続とは、死亡した人(被相続人)の財産(資産・負債)を遺族など(相続人)が継承・引き継ぐことを指します。
相続には、現金・土地・建物などの資産だけでなく、借入金などの負債も含まれます。
項目 | 内容 |
---|---|
相続人 | 被相続人の財産を引き継ぐ人 |
法定相続分 | 民法で定められた相続分 |
指定相続分 | 被相続人が遺言で定めた相続分 |
相続放棄 | 相続を放棄すること |
代襲相続 | 相続人が死亡している場合、その子や孫が相続すること |
1. 相続人の範囲と順位
相続人の範囲と順位は民法で定められています。
- 常に相続人となる者: 配偶者(法律上の婚姻関係にある者に限る)
- 第1順位: 子(養子も含む)
- 第2順位: 子がいない場合、直系尊属(父母、祖父母など)
- 第3順位: 子も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹
子の分類
- 実子: 血の繋がりがある子
- 嫡出子: 正式な婚姻関係のある人との間に生まれた子
- 胎児: 被相続人の死亡時に生まれていない子(生まれたものとして相続人になる)
- 養子: 養子縁組により子となった者
- 普通養子: 実父母との親子関係を存続したまま、養父母との親子関係を作る縁組
- 特別養子: 実父母との親子関係を断ち、養父母との親子関係を作る縁組
- 非嫡出子: 正式な婚姻関係のない人との間に生まれた子(認知が必要)
相続人になれない人
- 欠格: 故意に被相続人や他の相続人を殺害、詐欺や脅迫によって遺言を書かせた場合
- 廃除: 被相続人を虐待、重大な侮辱を加えた場合
- 相続放棄: 相続を放棄した者
- 相続開始以前に死亡している者
2. 法定相続分と指定相続分
相続分には法定相続分と指定相続分があります。
法定相続分
民法で定められた相続分で、基本的な割合は以下の通りです。
順位 | 相続人 | 相続分 |
---|---|---|
常に相続人 | 配偶者のみ | すべて配偶者 |
第1順位 | 配偶者+子 | 配偶者:1/2、子:1/2(均分相続) |
第2順位 | 配偶者+直系尊属 | 配偶者:2/3、直系尊属:1/3(均分相続) |
第3順位 | 配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4(均分相続) |
指定相続分
被相続人が遺言で定めた相続分で、法定相続分より優先されます。
3. 相続の承認と放棄
相続人は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、以下のいずれかを選択する必要があります。
- 単純承認: 被相続人のすべての財産を無条件で相続すること
- 限定承認: 積極財産の範囲内で消極財産を支払うこと
- 相続放棄: 相続を放棄すること
4. 遺産分割の方法
遺産分割とは、相続人全員で受け取る相続財産を各相続人に具体的に配分することです。
分割手続
- 指定分割: 遺言により分割方法を指定
- 協議分割: 共同相続人全員の協議により成立
- 調停分割: 家庭裁判所の調停のもとで協議
- 審判分割: 家庭裁判所の審判により分割
分割方法
- 現物分割: 相続財産をそのまま分ける方法
- 換価分割: 財産を処分して現金化して分ける方法
- 代償分割: 自分の相続分を越えて遺産を取得した者が、その代償として自己の固有財産を他の相続人に支払う方法
練習問題と解説
問題1
被相続人が遺言を残さずに死亡した場合、法定相続分に基づいて相続が行われます。
次のうち、法定相続分が正しいものはどれですか?
- 配偶者と子がいる場合、配偶者が3分の2、子が3分の1を相続する
- 配偶者と直系尊属がいる場合、配偶者が3分の1、直系尊属が3分の2を相続する
- 配偶者と兄弟姉妹がいる場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続する
- 配偶者のみがいる場合、配偶者がすべてを相続する
【解説】
正解: 3
配偶者と兄弟姉妹がいる場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。
法定相続分は民法で定められており、配偶者と子がいる場合は配偶者が2分の1、子が2分の1を相続します。
配偶者と直系尊属がいる場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1を相続します。
配偶者のみがいる場合は、配偶者がすべてを相続します。
問題2
相続人が相続を放棄する場合、どのような手続きを行う必要がありますか?
- 被相続人の死亡後、1ヶ月以内に家庭裁判所に申述する
- 被相続人の死亡後、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する
- 被相続人の死亡後、6ヶ月以内に家庭裁判所に申述する
- 被相続人の死亡後、1年以内に家庭裁判所に申述する
【解説】
正解: 2
相続人が相続を放棄する場合、被相続人の死亡後、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
この期間内に申述しないと、相続を承認したものとみなされます。
問題3
次のうち、相続人の欠格事由に該当するものはどれですか?
- 被相続人の財産を管理していたが、管理が不十分だった
- 被相続人を故意に殺害した
- 被相続人の遺言を見つけたが、開封せずに保管していた
- 被相続人の財産を相続放棄した
【解説】
正解: 2
相続人の欠格事由には、被相続人を故意に殺害した場合が含まれます。
他の選択肢は欠格事由には該当しません。
関連ページ
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