FP3級試験で出題される「企業年金・個人年金等」の重要ポイントと例題についてまとめました。
企業年金・個人年金等の概要
企業年金と個人年金は、老後の生活を支えるための重要な制度です。
企業年金は企業が提供する年金制度で、個人年金は個人が自ら加入する年金制度です。
項目 | 企業年金 | 個人年金 |
---|---|---|
主な対象者 | 企業の従業員 | 個人(自営業者、専業主婦など) |
主な種類 | 確定給付年金、確定拠出年金 | iDeCo、国民年金基金、小規模企業共済 |
掛金の負担者 | 企業 | 個人 |
節税効果 | あり | あり |
1. 企業年金
企業年金は、企業が従業員のために設ける年金制度で、主に以下の2種類があります。
確定給付年金(DB: Defined Benefit)
- 概要: 将来支払われる年金額があらかじめ決まっている年金制度です。
- 特徴:
- 企業が掛金を拠出し、運用リスクを負います。
- 受給額は企業の運用成績に関わらず一定です。
- 運営形態:
- 規約型: 労使合意の「規約」を結び、信託会社や生命保険会社が運用。
- 基金型: 企業が別法人格の基金を設立し運営(加入者300人以上が条件)。
確定拠出年金(DC: Defined Contribution)
- 概要: 拠出された掛金を個々の加入者が運用し、その運用結果に基づいて給付額が決まる年金制度です。
- 特徴:
- 企業型と個人型(iDeCo)があり、企業型は企業が掛金を拠出し、個人型は個人が掛金を拠出します。
- 運用リスクは加入者が負います。
- 企業型確定拠出年金:
- 企業が掛金を拠出し、従業員が運用指図を行います。
- 掛金の拠出限度額は、確定給付型年金を実施していない場合は月額55,000円、実施している場合は月額27,500円です。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo):
- 自営業者や専業主婦も加入可能。
- 掛金の拠出限度額は、国民年金の第1号被保険者(自営業者など)は月額68,000円、第2号被保険者(サラリーマンなど)は月額23,000円(企業年金未加入者の場合)。
2. 個人年金
個人年金は、個人が自ら加入する年金制度で、以下の種類があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 概要: 個人が掛金を拠出し、自ら運用する年金制度です。
- 特徴:
- 掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、所得税を軽減できます。
- 運用益は非課税です。
- 受給時には公的年金等控除や退職所得控除の対象となります。
- 注意点:
- 中途解約や引き出しができません。
- 口座開設時に手数料がかかります。
国民年金基金
- 概要: 自営業者などが国民年金に上乗せして受給するための年金制度です。
- 特徴:
- 掛金の拠出限度額は月額68,000円です。
- 付加年金と併用はできません。
小規模企業共済
- 概要: 従業員が20人以下の個人事業主や会社役員のための退職金制度です。
- 特徴:
- 掛金は月額1,000~70,000円で、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
練習問題と解説
問題1
企業年金のうち、将来支払われる年金額があらかじめ決まっている年金制度はどれですか?
- 確定拠出年金
- 確定給付年金
- 国民年金基金
- 小規模企業共済
【解説】
正解: 2. 確定給付年金
確定給付年金は、将来支払われる年金額があらかじめ決まっている年金制度です。
企業が掛金を拠出し、運用リスクを負います。
問題2
個人が自ら掛金を拠出し、運用する年金制度はどれですか?
- 確定給付年金
- 企業型確定拠出年金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 厚生年金
【解説】
正解: 3. 個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、個人が自ら掛金を拠出し、自ら運用する年金制度です。
掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、所得税を軽減できます。
問題3
企業型確定拠出年金の掛金の拠出限度額は、確定給付型年金を実施していない場合、月額いくらですか?
- 27,500円
- 55,000円
- 68,000円
- 23,000円
【解説】
正解: 2. 55,000円
企業型確定拠出年金の掛金の拠出限度額は、確定給付型年金を実施していない場合、月額55,000円です。
問題4
自営業者が加入できる年金制度はどれですか?
- 企業型確定拠出年金
- 厚生年金
- 国民年金基金
- 確定給付年金
【解説】
正解: 3. 国民年金基金
国民年金基金は、自営業者などが国民年金に上乗せして受給するための年金制度です。
掛金の拠出限度額は月額68,000円です。
問題5
小規模企業共済の掛金の拠出限度額は月額いくらですか?
- 10,000円
- 30,000円
- 50,000円
- 70,000円
【解説】
正解: 4. 70,000円
小規模企業共済の掛金の拠出限度額は月額70,000円です。
従業員が20人以下の個人事業主や会社役員のための退職金制度です。
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