FP3級試験で出題される「不動産に関する法令上の規制」の攻略ポイントと例題についてまとめました。
不動産に関する法令上の規制の概要
不動産に関する法令上の規制は、土地や建物の利用、取引、開発などに関する法律や規制を指します。
これらの規制は、不動産の適正な利用と取引の透明性を確保するために設けられています。
規制の種類 | 内容 |
---|---|
借地借家法 | 借地権・借家権の種類と契約期間、更新のルール |
区分所有法 | 区分所有建物の管理規約と決議方法 |
都市計画法 | 都市計画区域の指定と開発許可の要件 |
建築基準法 | 建築物の構造、安全性、用途制限 |
農地法 | 農地の取引と転用の許可 |
1. 借地借家法
借地借家法は、土地や建物の賃貸借に関する法律です。以下に主要なポイントを示します。
借地権の種類
- 普通借地権:契約期間は30年以上。更新は最初の更新が20年以上、2回目以降は10年以上。
- 一般定期借地権:契約期間は50年以上。更新はなし。
- 事業用定期借地権:契約期間は10年以上50年未満。更新はなし。
- 建物譲渡特約付借地権:契約期間は30年以上。更新はなし。
借家権の種類
- 普通借家権:契約期間は1年以上。正当な理由がない限り契約は更新される。
- 定期借家権:契約期間の定めがあり、更新はなし。契約終了の6ヶ月前までに通知が必要。
2. 区分所有法
区分所有法は、マンションなどの区分所有建物の管理に関する法律です。
規約と決議
- 規約の設定・変更・廃止:区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要。
- 共有部分の重大変更:区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要。
- 建替え:区分所有者および議決権の各5分の4以上の特別決議が必要。
3. 都市計画法
都市計画法は、都市の計画的な発展と環境の保全を目的とした法律です。
都市計画区域
- 市街化区域:すでに市街地を形成している地域。開発には都道府県知事の許可が必要。
- 市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域。開発には都道府県知事の許可が必要。
- 非線引き区域・準都市計画区域:開発には都道府県知事の許可が必要。
4. 建築基準法
建築基準法は、建築物の安全性や用途に関する規制を定めた法律です。
主なポイント
- 接道義務:幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない。
- セットバック:幅員4m未満の道路の場合、道路の中心線から2m後退した線が道路境界線とみなされる。
- 建ぺい率と容積率:建築面積や延床面積に対する敷地面積の割合を規定。
5. 農地法
農地法は、農地の取引や転用に関する規制を定めた法律です。
許可権者
- 所有権の移転や権利の設定:農地を農地のまま転売する場合は農業委員会の許可が必要。
- 転用:農地を農地以外の土地に転用する場合は都道府県知事の許可が必要。
- 転用目的の権利移動:農地を農地以外の土地にするために権利を移動する場合は都道府県知事の許可が必要。
練習問題と解説
問題1
借地借家法における普通借地権の契約期間として正しいものはどれですか。
- 10年以上
- 20年以上
- 30年以上
- 50年以上
【解説】
正解: 3. 30年以上
普通借地権の契約期間は30年以上と定められています。
最初の更新は20年以上、2回目以降の更新は10年以上となります。
問題2
区分所有法において、共有部分の重大変更を行うために必要な決議の割合はどれですか。
- 区分所有者および議決権の各過半数
- 区分所有者および議決権の各3分の2以上
- 区分所有者および議決権の各4分の3以上
- 区分所有者および議決権の各5分の4以上
【解説】
正解: 3. 区分所有者および議決権の各4分の3以上
共有部分の重大変更を行うためには、区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別決議が必要です。
問題3
都市計画法において、市街化調整区域で開発行為を行う場合に必要な許可はどれですか。
- 市町村長の許可
- 都道府県知事の許可
- 国土交通大臣の許可
- 許可は不要
【解説】
正解: 2. 都道府県知事の許可
市街化調整区域で開発行為を行う場合には、都道府県知事の許可が必要です。
問題4
建築基準法において、建築物が接する道路の幅員が4m未満の場合、道路の中心線から後退する距離はどれですか。
- 1m
- 1.5m
- 2m
- 2.5m
【解説】
正解: 3. 2m
幅員4m未満の道路の場合、道路の中心線から2m後退した線が道路境界線とみなされます。
問題5
農地法において、農地を農地以外の土地に転用するために必要な許可はどれですか。
- 市町村長の許可
- 農業委員会の許可
- 都道府県知事の許可
- 国土交通大臣の許可
【解説】
正解: 3. 都道府県知事の許可
農地を農地以外の土地に転用する場合には、都道府県知事の許可が必要です。
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