ビジネス会計検定3級で出題される「収益性の分析」の重要ポイントと練習問題を解説します。
収益性の分析の概要
収益性の分析は、企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを評価するための手法です。
これは、企業の財務健全性や経営効率を測るために重要な指標となります。
ビジネス会計検定3級では、以下のような主要な指標を学びます。
指標名 | 計算式 | 説明 |
---|---|---|
総資本経常利益率 (ROA) | 経常利益 / 総資本 × 100 | 企業が総資本を使ってどれだけ利益を生み出しているかを示す |
経営資本営業利益率 | 営業利益 / 経営資本 × 100 | 営業活動による利益率を測る |
自己資本当期純利益率 (ROE) | 当期純利益 / 自己資本 × 100 | 株主の出資に対する収益性を示す |
資本利益率の分解 | 利益 / 売上高 × 売上高 / 投下資本 | 資本の効率と利益率を分解して分析する |
1. 総資本経常利益率 (ROA)
総資本経常利益率は、企業が総資本を使ってどれだけの経常利益を生み出しているかを示す指標です。これは、企業の全体的な収益性を評価するために使用されます。
- 計算式: 経常利益 / 総資本 × 100
- 説明: 総資本には、自己資本と他人資本の両方が含まれます。この指標は、企業がどれだけ効率的に資本を運用しているかを示します。
例題
問題: ある企業の経常利益が500万円、総資本が1億円の場合、総資本経常利益率を求めなさい。
解答: 500万円 / 1億円 × 100 = 5%
2. 経営資本営業利益率
経営資本営業利益率は、企業の営業活動による利益率を測る指標です。
これは、企業の本業の収益性を評価するために使用されます。
- 計算式: 営業利益 / 経営資本 × 100
- 説明: 経営資本は、総資本から投資その他の資産、建設仮勘定、繰延資産を除いたものです。この指標は、企業の営業活動がどれだけ効率的に行われているかを示します。
例題
問題: ある企業の営業利益が800万円、経営資本が2億円の場合、経営資本営業利益率を求めなさい。
解答: 800万円 / 2億円 × 100 = 4%
3. 自己資本当期純利益率 (ROE)
自己資本当期純利益率は、株主の出資に対する収益性を示す指標です。
これは、株主にとっての投資のリターンを評価するために使用されます。
- 計算式: 当期純利益 / 自己資本 × 100
- 説明: 自己資本は、企業の純資産を指します。この指標は、企業が株主の資本をどれだけ効率的に運用しているかを示します。
例題
問題: ある企業の当期純利益が300万円、自己資本が5000万円の場合、自己資本当期純利益率を求めなさい。
解答: 300万円 / 5000万円 × 100 = 6%
4. 資本利益率の分解
資本利益率の分解は、資本の効率と利益率を分解して分析する手法です。
これにより、企業の収益性の変動要因を特定することができます。
- 計算式: 資本利益率 = 利益 / 売上高 × 売上高 / 投下資本
- 説明: 資本利益率は、売上高利益率と資本回転率の積として表されます。売上高利益率は利益の利幅を、資本回転率は投資の効率を示します。
例題
問題: ある企業の利益が200万円、売上高が1億円、投下資本が5000万円の場合、資本利益率を求めなさい。
解答: (200万円 / 1億円) × (1億円 / 5000万円) = 0.02 × 2 = 0.04 = 4%
練習問題と解説
問題1
次の資料を基に、総資本経常利益率を求めなさい。
資料:
– 経常利益: 500万円
– 総資本: 1億円
- 0.5%
- 5%
- 50%
- 500%
【解説】
正解: 2. 5%
解説文: 総資本経常利益率は、経常利益を総資本で割って求めます。計算式は以下の通りです。
$$\text{総資本経常利益率} = \frac{\text{経常利益}}{\text{総資本}} \times 100$$
この場合、経常利益が500万円、総資本が1億円なので、
$$\frac{500万円}{1億円} \times 100 = 5\%$$
となります。
問題2
次の資料を基に、自己資本当期純利益率(ROE)を求めなさい。
資料:
– 当期純利益: 300万円
– 自己資本: 6000万円
- 0.5%
- 5%
- 50%
- 500%
【解説】
正解: 2. 5%
解説文: 自己資本当期純利益率(ROE)は、当期純利益を自己資本で割って求めます。計算式は以下の通りです。
$$\text{ROE} = \frac{\text{当期純利益}}{\text{自己資本}} \times 100$$
この場合、当期純利益が300万円、自己資本が6000万円なので、
$$\frac{300万円}{6000万円} \times 100 = 5\%$$
となります。
問題3
次の資料を基に、売上高営業利益率を求めなさい。
資料:
– 営業利益: 200万円
– 売上高: 4000万円
- 0.5%
- 5%
- 50%
- 500%
【解説】
正解: 2. 5%
解説文: 売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割って求めます。計算式は以下の通りです。
$$\text{売上高営業利益率} = \frac{\text{営業利益}}{\text{売上高}} \times 100$$
この場合、営業利益が200万円、売上高が4000万円なので、
$$\frac{200万円}{4000万円} \times 100 = 5\%$$
となります。
関連ページ
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