ビジネス会計検定3級で出題される「安全性の分析」の重要ポイントと練習問題を解説します。
安全性の分析の概要
安全性の分析は、企業の財務健全性や債務支払能力を評価するための分析です。
企業が短期および長期の債務を返済する能力を評価するために使用されます。
主に以下の指標が用いられます。
指標名 | 計算式 | 目安 |
---|---|---|
流動比率 | 流動資産 / 流動負債 × 100 | 200% |
正味運転資本 | 流動資産 – 流動負債 | – |
当座比率 | 当座資産 / 流動負債 × 100 | 100% |
自己資本比率 | 自己資本 / 総資本 × 100 | 30%以上 |
1. 流動比率
流動比率は、企業が短期の債務を返済する能力を示す指標です。
流動資産を流動負債で割った値で計算されます。
計算式:
$$\text{流動比率} = \frac{\text{流動資産}}{\text{流動負債}} \times 100$$
目安: 200%
流動比率が高いほど、企業の短期的な支払能力が高いとされます。
ただし、200%を下回っていても良好な企業も多いため、他の指標と併せて総合的に判断することが重要です。
2. 正味運転資本
正味運転資本は、流動資産から流動負債を差し引いた値で、企業の短期的な財務健全性を示します。
計算式:
$$\text{正味運転資本} = \text{流動資産} – \text{流動負債}$$
正味運転資本がプラスであれば、企業は短期的な支払能力が高いとされます。
3. 当座比率
当座比率は、流動資産の中でも特に換金性の高い当座資産を用いて計算される指標です。
計算式:
$$\text{当座比率} = \frac{\text{当座資産}}{\text{流動負債}} \times 100$$
目安: 100%
当座比率が高いほど、企業の短期的な支払能力が高いとされます。
4. 自己資本比率
自己資本比率は、企業の総資本に対する自己資本の割合を示す指標です。
長期的な財務健全性を評価するために使用されます。
計算式:
$$\text{自己資本比率} = \frac{\text{自己資本}}{\text{総資本}} \times 100$$
目安: 30%以上
自己資本比率が高いほど、企業の財務基盤が安定しているとされます。
練習問題と解説
問題1
次の企業の流動比率を計算しなさい。
- 流動資産: 500万円
- 流動負債: 250万円
選択肢:
1. 100%
2. 150%
3. 200%
4. 250%
【解説】
正解: 3. 200%
流動比率は、流動資産を流動負債で割り、その結果に100を掛けて計算します。計算式は以下の通りです。
$$\text{流動比率} = \frac{\text{流動資産}}{\text{流動負債}} \times 100$$
この問題では、流動資産が500万円、流動負債が250万円なので、
$$\text{流動比率} = \frac{500}{250} \times 100 = 200\%$$
となります。
問題2
次の企業の当座比率を計算しなさい。
- 当座資産: 300万円
- 流動負債: 400万円
選択肢:
1. 50%
2. 75%
3. 100%
4. 125%
【解説】
正解: 2. 75%
当座比率は、当座資産を流動負債で割り、その結果に100を掛けて計算します。計算式は以下の通りです。
$$\text{当座比率} = \frac{\text{当座資産}}{\text{流動負債}} \times 100$$
この問題では、当座資産が300万円、流動負債が400万円なので、
$$\text{当座比率} = \frac{300}{400} \times 100 = 75\%$$
となります。
問題3
次の企業の自己資本比率を計算しなさい。
- 自己資本: 600万円
- 総資本: 2000万円
選択肢:
1. 20%
2. 25%
3. 30%
4. 35%
【解説】
正解: 3. 30%
自己資本比率は、自己資本を総資本で割り、その結果に100を掛けて計算します。計算式は以下の通りです。
$$\text{自己資本比率} = \frac{\text{自己資本}}{\text{総資本}} \times 100$$
この問題では、自己資本が600万円、総資本が2000万円なので、
$$\text{自己資本比率} = \frac{600}{2000} \times 100 = 30\%$$
となります。
関連ページ
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