FP3級試験で出題される「ポートフォリオ運用」の重要ポイントと例題についてまとめました。
ポートフォリオ運用の概要
ポートフォリオ運用とは、資産を複数の異なる投資対象に分散させることで、リスクを低減し、安定した収益を目指す運用方法です。
これにより、特定の投資対象の価格変動による影響を最小限に抑えることができます。
投資対象 | 特徴 |
---|---|
株式 | 高リスク・高リターン |
債券 | 低リスク・低リターン |
不動産 | 中リスク・中リターン |
預貯金 | 非常に低リスク・低リターン |
1. アセットアロケーション
アセットアロケーションとは、資産を異なる投資対象(アセットクラス)にどのように配分するかを決定することです。
これにより、リスクとリターンのバランスを取ることができます。
- 株式: 高い成長が期待できるが、価格変動が大きい。
- 債券: 安定した収益が期待できるが、リターンは低め。
- 不動産: 長期的な収益が期待できるが、流動性が低い。
- 預貯金: 安全性が高いが、リターンは非常に低い。
アセットアロケーションの例
資産クラス | 配分割合 |
---|---|
株式 | 50% |
債券 | 30% |
不動産 | 10% |
預貯金 | 10% |
2. リスクとリターンの関係
資産運用におけるリスクとは、将来の収益が確定していない不確実性のことを指します。
一般的に、リスクが高いほどリターンも高くなる傾向があります。
- リスクの定義: 将来の収益の不確実性。
- リターンの定義: 投資から得られる利益。
リスクとリターンのトレードオフ
リスク | リターン |
---|---|
高 | 高 |
中 | 中 |
低 | 低 |
3. 相関係数と分散投資
相関係数は、異なる資産の価格変動の関連性を示す指標です。
相関係数が低い(または負の)資産を組み合わせることで、リスクを低減する効果があります。
- 相関係数の範囲: -1から1
- 1: 完全に同じ動きをする
- 0: 無関係
- -1: 完全に逆の動きをする
相関係数の例
資産A | 資産B | 相関係数 |
---|---|---|
株式 | 債券 | -0.3 |
株式 | 不動産 | 0.2 |
債券 | 預貯金 | 0.1 |
4. 期待収益率の計算
期待収益率は、ポートフォリオ全体の予想される収益率を示します。
各資産の収益率とその組み入れ比率を掛け合わせて求めます。
期待収益率の計算例
資産 | 期待収益率 | 組み入れ比率 |
---|---|---|
株式 | 10% | 50% |
債券 | 5% | 30% |
不動産 | 7% | 10% |
預貯金 | 1% | 10% |
計算式: $(10\% \times 0.5 + 5\% \times 0.3 + 7\% \times 0.1 + 1\% \times 0.1 = 6.4\%)$
練習問題と解説
問題1
次のうち、「分散投資」の目的として最も適切なものはどれですか?
- 投資リスクを低減するため
- 投資収益を最大化するため
- 投資コストを削減するため
- 投資期間を短縮するため
【解説】
正解: 1. 投資リスクを低減するため
解説文: 分散投資の主な目的は、異なる資産や市場に投資することで、特定の資産や市場のリスクを低減し、全体のポートフォリオのリスクを分散させることです。これにより、一部の投資が損失を出しても、他の投資がその損失を補う可能性が高まり、全体のリスクが低減されます。
問題2
次のうち、「リバランス」の目的として最も適切なものはどれですか?
- 投資収益を最大化するため
- 投資リスクを低減するため
- ポートフォリオの資産配分を維持するため
- 投資コストを削減するため
【解説】
正解: 3. ポートフォリオの資産配分を維持するため
解説文: リバランスは、ポートフォリオ内の資産配分が当初の目標からずれてしまった場合に、再び目標配分に戻すための調整を行うことです。これにより、投資家はリスクとリターンのバランスを維持し、長期的な投資戦略を実行することができます。
問題3
次のうち、「アセットアロケーション」の説明として最も適切なものはどれですか?
- 特定の銘柄に集中投資すること
- 異なる資産クラスに分散投資すること
- 短期的な市場の動きを予測して投資すること
- 投資信託を利用して投資すること
【解説】
正解: 2. 異なる資産クラスに分散投資すること
解説文: アセットアロケーションとは、株式、債券、不動産、現金など、異なる資産クラスに投資資金を分散させることを指します。これにより、特定の資産クラスのリスクに対するポートフォリオ全体の影響を軽減し、リスクとリターンのバランスを最適化することができます。
問題4
次のうち、「ベータ値」の説明として最も適切なものはどれですか?
- ポートフォリオの収益率を示す指標
- ポートフォリオのリスクを示す指標
- ポートフォリオの市場に対する感応度を示す指標
- ポートフォリオの運用コストを示す指標
【解説】
正解: 3. ポートフォリオの市場に対する感応度を示す指標
解説文: ベータ値は、ポートフォリオや個別銘柄が市場全体の動きに対してどれだけ感応するかを示す指標です。ベータ値が1の場合、市場と同じ動きをすることを意味し、1より大きい場合は市場よりも大きく動き、1より小さい場合は市場よりも小さく動くことを意味します。
問題5
次のうち、「シャープレシオ」の説明として最も適切なものはどれですか?
- ポートフォリオのリスク調整後の収益率を示す指標
- ポートフォリオの収益率を示す指標
- ポートフォリオの運用コストを示す指標
- ポートフォリオの分散投資の度合いを示す指標
【解説】
正解: 1. ポートフォリオのリスク調整後の収益率を示す指標
解説文: シャープレシオは、ポートフォリオのリスク調整後の収益率を示す指標で、リスク(標準偏差)1単位あたりの超過収益を測定します。シャープレシオが高いほど、リスクに対して効率的に収益を上げていることを意味します。
問題6
次のうち、「アクティブ運用」と「パッシブ運用」の違いとして最も適切なものはどれですか?
- アクティブ運用は市場平均を上回ることを目指し、パッシブ運用は市場平均に連動することを目指す
- アクティブ運用は低コストであり、パッシブ運用は高コストである
- アクティブ運用は長期投資を目指し、パッシブ運用は短期投資を目指す
- アクティブ運用は分散投資を行い、パッシブ運用は集中投資を行う
【解説】
正解: 1. アクティブ運用は市場平均を上回ることを目指し、パッシブ運用は市場平均に連動することを目指す
解説文: アクティブ運用は、ファンドマネージャーが市場平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄選択や売買を行う運用方法です。一方、パッシブ運用は市場指数に連動することを目指し、指数に組み入れられている銘柄をそのまま保有する運用方法です。
これらの問題がさらに学習の助けになることを願っています。ほかに質問があれば教えてください。
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