FP3級試験で出題される「公的年金」の重要ポイントと例題についてまとめました。
公的年金の概要
公的年金は、日本の社会保障制度の一部であり、老後の生活を支えるための重要な収入源です。
公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があります。
これらは、被保険者の職業や収入に応じて異なる仕組みで運用されています。
年金の種類 | 対象者 | 保険料 | 給付内容 |
---|---|---|---|
国民年金 | 自営業者、学生、無職者など | 定額 | 老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金 |
厚生年金 | 会社員、公務員など | 報酬比例 | 老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金 |
1. 国民年金
国民年金は、国内に住所を有する20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金制度です。
被保険者の区分
- 第1号被保険者: 自営業者、学生、無職者など
- 第2号被保険者: 会社員、公務員など(厚生年金に加入)
- 第3号被保険者: 第2号被保険者に扶養されている配偶者
保険料
- 毎月の保険料は定額で、2024年度は16,540円です。
- 保険料の免除や猶予制度もあります(法定免除、申請免除、産前産後期間の免除、学生納付特例制度、納付猶予制度)。
給付内容
- 老齢基礎年金: 65歳から受給可能。受給資格期間は10年以上。
- 障害基礎年金: 障害等級1級または2級に該当する場合に支給。
- 遺族基礎年金: 被保険者が死亡した場合に、その遺族に支給。
2. 厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、報酬比例の保険料が特徴です。
被保険者の区分
- 第2号被保険者: 会社員、公務員など
保険料
- 保険料は標準報酬月額や標準賞与額の18.30%で、労使折半となっています。
給付内容
- 老齢厚生年金: 65歳から受給可能。報酬比例部分と定額部分があります。
- 障害厚生年金: 障害等級1級から3級に該当する場合に支給。
- 遺族厚生年金: 被保険者が死亡した場合に、その遺族に支給。
特別支給の老齢厚生年金
60歳から64歳までに支給される特別支給の老齢厚生年金もありますが、これは段階的に廃止され、最終的には65歳からの老齢厚生年金のみとなります。
在職老齢年金
在職老齢年金は、60歳以上の方が働きながら受け取ることができる老齢厚生年金です。
この制度は、年金受給者が働いて得る賃金と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全額が支給停止される仕組みです。
項目 | 内容 |
---|---|
対象者 | 60歳以上で厚生年金保険に加入している方 |
支給停止基準額 | 基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円を超える場合 |
支給停止額の計算方法 | 60歳以上64歳以下の場合: 年金の月額と賃金の合計が47万円以下の場合: 支給停止額は0円(全額受給可能) 年金の月額と賃金の合計が47万円を超える場合: 支給停止額 = (年金の月額 + 賃金 – 47万円) ÷ 2 |
在職定時改定制度 | 65歳以上の老齢厚生年金受給者を対象に、毎年10月に年金額を見直す制度 |
退職時改定 | 年金受給者が退職した際に、加入期間や支払った保険料の額に基づいて年金額を見直す制度 |
練習問題と解説
問題1
国民年金の第1号被保険者に該当するのは次のうちどれですか?
- 会社員
- 公務員
- 自営業者
- 65歳以上の高齢者
【解説】
正解: 3. 自営業者
解説文: 国民年金の第1号被保険者は、20歳以上60歳未満の自営業者、学生、無職の人などが該当します。会社員や公務員は第2号被保険者に該当し、65歳以上の高齢者は原則として国民年金の被保険者ではありません。
問題2
老齢基礎年金の受給資格期間は何年以上ですか?
- 5年
- 10年
- 15年
- 20年
【解説】
正解: 2. 10年
解説文: 老齢基礎年金の受給資格期間は10年以上です。平成29年7月31日以前は25年以上でしたが、現在は10年以上に短縮されています。
問題3
厚生年金保険の被保険者が60歳以降も働き続ける場合、老齢厚生年金の支給が調整される基準額は次のうちどれですか?
- 28万円
- 47万円
- 65万円
- 100万円
【解説】
正解: 2. 47万円
解説文: 60歳以降も働き続ける場合、老齢厚生年金の支給額は給与等の金額に応じて調整されます。
65歳以上の場合、給与等と年金月額の合計が47万円を超えると年金額が減額されます。
問題4
障害基礎年金の受給要件に該当しないものは次のうちどれですか?
- 初診日に国民年金の被保険者であること
- 障害認定日に障害等級1級または2級に該当すること
- 保険料納付済期間が全被保険者期間の1/3以上であること
- 初診日から1年6ヶ月経過後に障害状態が継続していること
【解説】
正解: 3. 保険料納付済期間が全被保険者期間の1/3以上であること
解説文: 障害基礎年金の受給要件は、初診日に国民年金の被保険者であること、障害認定日に障害等級1級または2級に該当すること、保険料納付済期間が全被保険者期間の2/3以上であること、初診日から1年6ヶ月経過後に障害状態が継続していることです。よって、選択肢3は誤りです。
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