FP3級試験で出題される「損益通算」の攻略ポイントと例題についてまとめました。
損益通算とは
損益通算とは、特定の所得の赤字を他の所得の黒字と相殺することができる制度です。
これにより、全体の所得を減らし、所得税を軽減することができます。
例えば、事業所得で赤字が出た場合、その赤字を不動産所得の黒字と相殺することで、全体の所得を減らすことができます。
FP3級の試験では、損益通算の対象となる所得と対象外の所得を理解することが重要です。
損益通算の対象となる所得は以下の4つです。
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
- 譲渡所得
これらの所得は「不事山譲(ふじさんじょう)」と語呂合わせで覚えると便利です。
一方、損益通算の対象とならない所得もあります。
例えば、土地を取得するための借入金の利子や、生活に通常必要でない資産(ゴルフ会員権や高価な絵画など)の譲渡損失などです。
また、株式の譲渡損失は申告分離課税を選択した場合に限り、株式等の配当所得と損益通算が可能です。
損益通算の手順は以下の通りです。
- 経常所得グループ(一時所得や雑所得など)内で通算
- 経常所得グループと一時・譲渡所得グループの間で通算
- 最後に、引ききれなかった赤字を退職所得や山林所得と通算
損益通算しても控除しきれない損失は、翌年以降に繰り越して控除することができます。
青色申告者の場合、翌年以降3年間にわたって繰り越すことが可能です。
練習問題と解説
問題1
次の資料を基に、所得税における不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、他の所得の金額と損益通算が可能な金額を求めなさい。
資料:
– 不動産所得の総収入金額: 500万円
– 必要経費: 600万円(うち、土地を取得するために借り入れたお金の利子: 50万円)
選択肢:
1. 50万円
2. 100万円
3. 150万円
解答:
2. 100万円
解説:
損益通算が可能な損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つです。土地を取得するために借り入れたお金の利子は損益通算の対象外です。
この問題では、不動産所得の必要経費600万円のうち、土地を取得するために借り入れたお金の利子50万円は損益通算の対象外です。したがって、損益通算が可能な必要経費は600万円 – 50万円 = 550万円です。
不動産所得の総収入金額500万円から損益通算が可能な必要経費550万円を差し引くと、損失は50万円となります。この損失は他の所得と損益通算が可能です。
よって、他の所得の金額と損益通算が可能な金額は100万円です。
問題 2:
次の資料を基に、所得税における譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、他の所得の金額と損益通算が可能な金額を求めなさい。
資料:
– 譲渡所得の総収入金額: 800万円
– 取得費: 900万円
– 譲渡費用: 50万円
選択肢:
1. 50万円
2. 100万円
3. 150万円
解答:
2. 100万円
解説:
譲渡所得の計算では、総収入金額から取得費と譲渡費用を差し引きます。この問題では、譲渡所得の総収入金額800万円から取得費900万円と譲渡費用50万円を差し引くと、損失は150万円となります。
損益通算が可能な損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つです。この場合、譲渡所得の損失150万円のうち、他の所得と損益通算が可能な金額は100万円です。
問題 3
次の資料を基に、所得税における事業所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、他の所得の金額と損益通算が可能な金額を求めなさい。
資料:
– 事業所得の総収入金額: 1,200万円
– 必要経費: 1,400万円
選択肢:
1. 100万円
2. 200万円
3. 300万円
解答:
2. 200万円
解説:
事業所得の計算では、総収入金額から必要経費を差し引きます。この問題では、事業所得の総収入金額1,200万円から必要経費1,400万円を差し引くと、損失は200万円となります。
損益通算が可能な損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つです。この場合、事業所得の損失200万円は他の所得と損益通算が可能です。
問題 4
次の資料を基に、所得税における山林所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、他の所得の金額と損益通算が可能な金額を求めなさい。
資料:
– 山林所得の総収入金額: 300万円
– 取得費: 350万円
– 譲渡費用: 20万円
選択肢:
1. 50万円
2. 70万円
3. 100万円
解答:
2. 70万円
解説:
山林所得の計算では、総収入金額から取得費と譲渡費用を差し引きます。この問題では、山林所得の総収入金額300万円から取得費350万円と譲渡費用20万円を差し引くと、損失は70万円となります。
損益通算が可能な損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つです。この場合、山林所得の損失70万円は他の所得と損益通算が可能です。
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