FP3級試験で出題される「所得控除」の攻略ポイントと例題についてまとめました。
所得控除とは
所得控除とは、納税者の生活状況に合わせて、課税所得を計算する前に所得額から一定の金額を差し引く制度です。
所得税や住民税は、1年間の所得に決まった税率をかけて算出します。
その際、所得控除を適用すると自身の所得金額が少なくなり、結果的に納税額を少なくすることができます。
所得控除は、課税所得を計算する前に所得から差し引くもので、例えば医療費控除や扶養控除などがあります。
一方、税額控除は計算された税額から直接差し引くもので、税額控除の方が直接的に税負担を軽減する効果が高いです。
FP3級で出題される主な所得控除は以下のとおりです。
以下に医療費控除を追加した表を示します。
控除の種類 | 適用条件 | 控除額 |
---|---|---|
配偶者控除 | 配偶者の合計所得金額が48万円以下(2020年以前は38万円以下) | 最大38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円) |
配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額が48万円(2020年以前は38万円)を超え、123万円以下 | 最大38万円 |
扶養控除 | 扶養親族の合計所得金額が48万円(2020年以前は38万円)以下 | 最大63万円 |
障害者控除 | 納税者本人や配偶者、親族に障害者がいる場合 | 一般障害者:27万円、特別障害者:40万円 |
勤労学生控除 | 学生である本人の合計所得金額が65万円以下、労働以外の所得金額が10万円以下 | 27万円 |
寡婦(寡夫)控除 | 配偶者と死別または離婚しており、かつ扶養親族等がいる場合 | 27万円(特定寡婦の場合は35万円) |
基礎控除 | すべての納税者が一律に受けられる控除 | 48万円(2020年以前は38万円)、合計所得金額が2,400万円を超えると減少 |
医療費控除 | 自己や親族のために支払った医療費が一定額を超える場合 | 支払った医療費の総額から10万円(または総所得金額の5%)を引いた額 |
FP3級試験では、これらの控除の適用条件や控除額についての基本的な知識が問われます。
1. 配偶者控除
納税者に合計所得金額が38万円以下(2020年以降は48万円以下)の配偶者がいる場合に適用されます。
控除額は納税者の合計所得金額に応じて異なり、最大で38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円)です。
2. 配偶者特別控除
配偶者の合計所得金額が38万円(2020年以降は48万円)を超えた場合でも、123万円(2020年以降は133万円)以下であれば適用されます。
控除額は配偶者の所得と納税者の合計所得金額に応じて変動し、最大で38万円です。
3. 扶養控除
- 納税者に生計を一にする合計所得金額38万円(2020年以降は48万円)以下の扶養親族がいる場合に適用されます。
扶養親族の年齢や同居の有無により控除額が異なり、最大で63万円です。
4. 障害者控除
納税者本人や配偶者、親族に障害者がいる場合に適用されます。
一般障害者の場合は27万円、特別障害者の場合は40万円の控除が受けられます。
5. 勤労学生控除
学生である本人の合計所得金額が65万円以下で、労働以外の所得金額も10万円以下である場合に適用されます。
控除額は27万円です。
6. 寡婦(寡夫)控除
配偶者と死別または離婚しており、かつ扶養親族等がいる場合に適用されます。
控除額は27万円(特定寡婦の場合は35万円)です。
7. 基礎控除
すべての納税者が一律に受けられる控除で、控除額は38万円(2020年以降は48万円)です。
ただし、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額が減少し、2,500万円を超えるとゼロになります.
練習問題と解説
問題 1
次のうち、所得税の所得控除に該当しないものはどれですか?
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 住宅ローン控除
- 医療費控除
解答: 3. 住宅ローン控除
解説: 住宅ローン控除は「税額控除」に分類されます。所得控除は、課税所得を減少させるための控除であり、基礎控除、配偶者控除、医療費控除などが該当します。
問題 2
所得税における基礎控除の額は、納税者の合計所得金額が2,400万円以下の場合、いくらですか?
- 38万円
- 48万円
- 58万円
- 68万円
解答: 2. 48万円
解説: 基礎控除は、すべての納税者が受けられる控除で、合計所得金額が2,400万円以下の場合は48万円です。これにより、課税所得が減少します。
問題 3
次のうち、所得税の配偶者控除の対象となる配偶者の年間所得の上限はどれですか?
- 38万円
- 48万円
- 58万円
- 68万円
解答: 1. 38万円
解説: 配偶者控除は、配偶者の年間所得が38万円以下の場合に適用されます。これにより、納税者の課税所得が減少します。
問題 4
医療費控除の対象となる医療費の最低額は次のうちどれですか?
- 5万円
- 10万円
- 15万円
- 20万円
解答: 2. 10万円
解説: 医療費控除は、年間の医療費が10万円を超える場合に適用されます。ただし、総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%を超える部分が控除対象となります。
問題 5
次のうち、所得税の扶養控除の対象となる扶養親族の年齢は何歳以上ですか?
- 16歳
- 18歳
- 20歳
- 22歳
解答: 1. 16歳
解説: 扶養控除は、16歳以上の扶養親族が対象となります。これにより、納税者の課税所得が減少します。
一方、15歳以下の子どもは、扶養控除ではなく「児童手当」の対象です。
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